【資料1960-96】ロプノール(新疆ウイグル自治区)での核実験 広島原爆被害の4倍を超える被害者
- KOKUMINno KOE
- 2021年2月10日
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ロプノール地域は核実験場として使われ、1996年までに核実験が45回実施された。
そのうち23回が大気圏内核実験でロプノールの北西約100km地点、22回が地下核実験でロプノールの北西約220km地点で行なわれた。
1950年代から1960年代にかけてロプノール付近は軍事上の立ち入り禁止区域となり、1980年代に立ち入り禁止が解除された。
1964年10月16日 初の核実験。
1967年6月17日 初の水爆実験。
1980年10月16日 最後の大気圏内核実験。
1996年7月29日 最後の地下核実験。
キャンベラのオーストラリア地質調査協会によって1996年の核実験の規模が1-5キロトンであったことが明らかにされた。
高田純による調査報告
核防護学者高田純札幌医科大学教授による2002年8月以降の調査で、中国がウイグル地区で実施した核実験によって、同自治区のウイグル人を中心に19万人が急死し、急性放射線障害など健康被害者は129万人にのぼり、そのうち、死産や奇形などの胎児への影響が3万5000人以上、白血病が3700人以上、甲状腺がんは1万3000人以上に達すると発表された(高田純 2008)。
また、被害はシルクロード周辺を訪れた日本人観光客27万人にも及んでいる恐れがあり、影響調査が必要であると同教授は指摘している。
高田教授による調査は、1996年までの中国の46回の同地区における核実験の爆発威力や放射線量、気象データや人口密度などを基礎データとした。
楼蘭遺跡の近くで実施されたメガトン級の核爆発では高エネルギーのガンマ線やベータ線、アルファ線などを放射する「核の砂」が大量に発生、東京都の136倍に相当する広範囲に及んだ。
同教授によれば、中国の核実験は、核防護策がずさんで、被災したウイグル人への医療ケアも施されずに、広島原爆被害の4倍を超える被害者を出している。
高田教授は「人道的にもこれほどひどい例はない。中国政府の情報の隠蔽も加え国家犯罪にほかならない」と批判した。
ウイグルのアニワル医師の見解
このような状況の中で「(中国政府に)実験のモルモットにされた」と訴えるウイグル人も現れており、ウイグル人医師アニワルは、「中国では被曝者が団体を作ることも抗議デモをすることも許されないし、国家から治療費も出ない。中国政府は『核汚染はない』と公言し、被害状況を隠蔽しているので、海外の援助支援団体も入れない。原爆症患者が30年以上も放置されたままなのだ」として、中国政府の対応を激しく批判している。
また、核実験場は最も近い居住エリアから10キロしか離れていなかったとも指摘されている。
ウイグル人の悪性腫瘍の発生率が、中国の他の地域の漢人と比べて、35%も高くなっており、漢人であってもウイグル自治区に30年以上滞在しているものは、ウイグル人と同じ発生率となっている。
また、先天性異常のために歩くことも話すこともできない障害児ばかりが生まれる地域もある。
中国による同地区核実験についてはイギリスBBCが1998年8月に隠し撮りによるドキュメンタリー「死のシルクロード」(27分)を報道し、この作品はローリー・ペック賞を受賞している。アニワル医師も同作品に同行している。
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